VITALSPIRIT

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蘇った記憶「こだわりと言うべきか何と言うべきか・・」

2018.10.27

フォルダを整理していたら古い話が出てきました。

随分昔に記載していた話ですけどまあ読み物として気楽に読んでいただけたらと思います。

今読み返すと当時の自分の考えを再確認できて嬉しいやら恥ずかしいやら・・なんか複雑です。

 

題名:「まあ聞いてよ、俺の怒り!」

 

いまでもツーリングの時、ふっと甦ってくる記憶がある。
昔々・・まだ押し付けのバイクライフ論を調子に乗って打(ぶ)ってる時期。

何気ない話の中で「今度、ナイトツーに行くのよー」彼女は自慢げな言葉を口にした。
「エッ、どこに行く?」と俺は動揺して聞き返す。
サークル活動みたいなツーリングクラブ(俺的には井戸端会議好きママゴトクラブ)まあ社会的にはそっちの方が認められるのだが・・
に所属している未熟ライダーからの意外な先制攻撃(不意打ち的発言)に体中に電気のような衝撃が走った。
(ナイトツー!?簡単に言うなよ、簡単に!!)
ナイトツーリング・・勿論夜のツーリング
闇夜のライトに映し出される限られた視野から路面状況・周辺情報、危険予知など諸々のコンディションを瞬時に見極めながらの長距離移動。
これは俺の知識ではかなり危険で上級のライディングを必要とするもの凄いエネルギーの要る行為、数多い経験と熟知を必要とするリスクの高いツーリングと思っている。
つまり多少の経験や真似事のテクニックでは到達できない究極のツーリングとして位置付けしている。
mi-ha-路線のひよっ子ライダーだと思っていた彼女から事もなげに略語で「ナイトツー」と抵抗無く(それも簡単に)言い切れている事に驚いた。
少ない経歴の身ながら夜間長距離移動、その行為を実行する!
たいしたスピードも出さないだろうがそこから得る物は多い・・

でも、さも経験済みだと言わんばかりの手軽そうな呼び方に本能的に嫌悪感を感じている。
(どういう事だよ、もう身に付けたと言う事??)
次の言葉に集中しながらも俺の頭の中はうまく整理できない思考で溢れていた。
少し意地悪な目をして焦らしながら「お気に入りのショットバーにクラブの人達(勿論ツーリングクラブの事だ)と夜集まって飲む事よ!そう名付けたの・・」
「飲み会のネーミング!恒例にするの、いいでしょー!」嬉しそうに語ってきた
はーぁ!!呆れた。
途端に情けないを通り越して押さえ切れない怒りの感情がこみ上げてきた。
「なんだよそりゃ、ナイトツーなんて付けるのヤメロよー!」
「大体ツーリングの意味合いがまったく違うだろー!」
「ナイトツーリングをしたことも無いくせにそんな呼び名に使うなよ」
「本質がまったく判って無いなー!」
たしなめる口調でしか答えられなかった。
「付けたいから付けたの!何が悪いの?」根底から拒絶する切り返しの言葉が帰ってきた。
俺とは師弟関係であり良き生徒(そう思っていたのは俺だけ・・)からの裏切り的反抗!
攻撃的な彼女の態度はつい先ほどまで演出されていた可愛らしさから一変しエゴ剥き出しの毒気の有る感情を露呈していた。
いったい何を主張したいのか俺には理解できないただ自分の趣向を批判され中傷された事に拘っている様にしか思えない。
その毒気はつい今まで俺に取り込まれてきた優雅なイタレスの雰囲気や美味しいワインまでも苦い後味に変えさせていた。
ツーリングの趣旨を問う俺に「ツーリングという言葉はバイクだけじゃない車でも自転車レースにも使うのよ!」と反論する。
でもな、最初はオートバイ用語なんだよ。
「ルーツを知っとけ、ルーツを!」持ち合わせてた言葉は上から押さえつけるものしか出てこなかった。
同じ思想を懐(いだ)けない距離感、突き放された様な孤独感・・悔しかった。
「ツーリング」この行為の意味するもの、学んで欲しい奥行知ってほしい姿勢があった。
楽しいだけじゃない苦しいーとか、悲しいとか寂しいーとか色々あんのにそんなこと感じなきゃツーリングに行った事にならないだろー。
そう思うのは俺だけなのかー?
俺の身勝手なのかー?
そうじゃなきゃ経験なんて言葉は生まれないだろー!
(活き方を学べよ、生き方を!)

上っ面だけの思い付き発想で軽々しくナイトツーなんて言うなよ。
今まで多くのことを諭(さと)してきた俺のバイク好き感情は否定していた。
乗ることで自分を見つめたり自分を表現する事はないんだ!
ただ楽しいだけでいいんだなーお前は・・
娯楽的思考で都合のいい解釈をして、身に付かない実力軽い達成欲に酔い身勝手な悟りに過信している。
ただ不愉快になる一方だった・・
「ツーリング」・・旅をする、 感じる事が旅の重さ・・それは生き方を感じる事。

大好きなバイクならそんな考えぐらい持てよ!!

 

 

 

追伸:なんでこの話を・・と自分でも想うのだが

多分・・先日実家までLemans (久しぶりにバイク)で帰省したことが起因している。

往路は早朝走り帰路は空いている夜走りを選んだ。

片道約180Km高森の峠越えから高千穂を抜ける山間道路

もう何十年と走り慣れた道、昔みたいにいいペースで走れると思い込んでいた・・

でもライトに照らしだされるコーナーはとても怖く昔のペースが作れない!

侵入を抑えて異常にマージンをとっている。

「怖いのだ」昼間はソツナク攻めれるコーナーも全くダメ。

 

俺はこんなに萎れてしまったのかと虚しくなってきた。

日頃使っているハイエースの方がよっぽど早く走れている・・

確かにバイクのライトはコーナーでは不利だ!

でも、

少し濡れていそうな路面が何だ!

見えないうねりやギャップが何だ!

苛立ちと歯痒い思いだけが残ってしまった・・

よーしもっと乗ろう!

そう、もう少し早く走ろう。

危険だよ・・・・ナイトツーリング。